ソロル部屋
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60.[ナイのかもしれない] 「眠かったなら先に寝てても良かったのに」
「トン助はそうやって俺の事遠ざけようとしとるんやろ?」
「ちゃいますよ、変なグルさん」
「ふふふ……ま、俺の好きにさせてくれ」
部屋に戻れば、大きな窓から雪が降っているのが見えた。細かな雪が静かに降り積もって、大地はうっすらと白くなっている。
「あ、雪や……ついに降り始めてもうたな」
「おお、なかなか風情があるじゃないか」
その窓の前に布団を二枚敷き、二人で寝転がって明かりを落とす。傷ついた大地に降る雪は、今は白く静穏なひと時を与えていた。
「これが、いつまで続くんやろうか」
布団に肩まで入り、つい口にするその不安。しばしの沈黙の後、グルッペンが身を寄せ肩を抱いた。体温はないが、その心の温もりは誰よりも持っている彼の手が好きだった。トントンはそんな彼の肩へと自分の頭を預ける。
「不安がるな。もし何かあったとしても、守ってやる」
「せやな……期待しとるからな。今度は、おいて行かんでな。連れて行ってくれ」
互いの視線が交わる。それからそっと顔を近付け、互いの気持ちを確かめ合う。
どうか幸せの影に忍び寄る黒い戦火の気配を、雪が覆い隠してくれと願うばかりであった。
完 09/18 20:28 PC PC
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