ソロル部屋
# メニューの表示 @include('inc_bbsmenu-pc.php'); ?>
93.[いぶ] 「お母様、新しい蝶々を入れる箱が欲しいんです。」
と、昆虫図鑑を持ち、もじもじとしながらも母にねだってみる。
"そうですね、良いですよ"と母は優しく答えてくれる。
「ありがとうございます、お母様!!」
と、昆虫図鑑をほっぽって母に抱きつく。
呆れながらも母は抱きしめ返してくれる。
「私、クジャクヤママユの標本を完成させてきます!!」
と、母から離れ、元気いっぱいの笑みを母に見せてから自室に向かう。
綺麗な茶色の、目のような模様に見とれてしまうような。
クジャクヤママユがそこにはいる"はずだった"。
床に転がり、羽は欠け、触覚は取れてしまっている無惨な姿しかそこにはなかった。
「え」
何故、誰が、いつやった。さっきまでは綺麗なままだったじゃないか。
"さっきまでは"綺麗だったんだ、お母様はそんなことしない、女中も、猫も、お父様も。
慌てて外に飛び出し、犯人を探そうとした。
すると、隣人のルドルフがいきなり出てきた。
違うだろう、けど、一応念のために聞いておこう。
「私のクジャクヤママユが、ぐしゃぐしゃに、されてしまったんです、貴方ですか?」
違うだろう、?何故、そうやって俯くんだ。
"ごめん…僕がやったんだ"
その一言で、全てが終わった気がした。
私がクジャクヤママユにどれだけの時間と知識を費やしたか。
全てそれをルドルフがぶち壊した。
「…そうか、そうか。つまり君はそんな奴だったんだな。」
怒る気力も無い。彼には失望した、ただそれだけだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
とある幼少の頃の教授のお話。 09/27 19:57 PC PC
スレッドに戻る
トップページ
表示:
ツリー
スレッド
トピック
新規投稿
記事検索
友達に教える
戻る
管理者にメール
マニュアル
管理画面
レンタル掲示板イーボ
ebo.jp