ソロル部屋
99.[選ばれたのは竹輪麩でした。] 「ピエール・ウッツリーニ、美味いぞ？」<br>「俺は、安いので結構です」<br>「ははっ、最近、なんだかやけに素っ気ないな」<br>「……」<br> そっけない態度を取りたいから取ってるんじゃない。この気持ちが何か分からないからこうなっているんだ。もやもやざわざわして、本当はもっと稽古とかやりたいけど、妙に話し掛けづらくて話せない。<br>「ま、そんなトントン君にはいい子になるおまじないをやろう」<br> 悶々と考えていると、そんなことを言われ黒色のシンプルな小さな紙袋を渡される。こんな手作りチョコなんてさっきあったか？なんて開けてみると、ココアパウダーまみれのいびつなチョコが出てきた。<br>「今年は母様に教えてもらって作ってみたんだ。さぁ、食べてみてくれ」<br>「……いただきます」<br> ココアパウダーで指を汚しながら、一粒口の中に入れる。<br>「どうだ？うまいか？」<br> 楽しみそうなグルさんの顔を見ると、またぞわっと胸がくすぐったくなる。もぐもぐと、咀嚼すれば飲み込む。<br>「とても美味しいですよ」<br> 彼のチョコレートは甘くて苦かった。<br><br>おわり 10/01 17:42 PC iPhone
スレッドに戻る
トップページ
表示：
ツリー
スレッド
トピック
新規投稿
記事検索
友達に教える
戻る
管理者にメール
マニュアル
管理画面
レンタル掲示板イーボ
ebo.jp