ソロル部屋
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124.[竹輪麩] 『ハッピーエンドなんて言わないで』
「ライラ、愛していたぞ……」
久しぶりに、お墓に旦那様が来たと思えばこんな声が聞こえた。今日は、一人で来たみたいだけど、私はそれでもいい。だって、旦那様がいれば私はそれで十分だった。「愛してる」の一言で私は救われた。……でも、今日聞いたのは過去形の愛。何かあったのかしら、なんて思うとついて行きたくなる。同じ死者なのに旦那様には私の姿は見えてないみたいだからついていってもいいか。なんて思うと、旦那様が去る時に旦那様の愛刀に触れてそこを触媒とした。私は旦那様と違って何か物に頼らないと動けない。これは地縛霊というらしい。幽霊が幽霊に憑くなんて聞いたことがないけど、私は力が弱いからそれができる。前もそこら辺の幽霊についていってお菓子を食べたこともある。少しドキドキしたけど、旦那様には気づかれていないみたいでよかった。
「ただいま」
旦那様が帰ってきたのは、旦那様の立派な実家。玄関から素直に入ると、中は賑やかだった。元気な方が多い、でも知らない方ばかり。死んでから知り合ったのかしら、ミヨイの雰囲気の方もたくさんいる。写真だけで見たのは、鬱さんぐらいかしら。
「トーン氏!ただいま」
あの方もいた。同じ赤い目のトントンさん。最後にあった時はいつだったかしら、旦那様のお墓に口づけされた時以来かしらなんて考えながら横目で見る。服装もミヨイ……あの日、旦那様が酷く病んでしまったのはこの龍なのかしら。可哀想、親友だと言っていた相手に突然裏切られるのはさぞ辛かったことでしょう。旦那様の優しさは毒だ。優しすぎるが故に、相手を悩ませる。それは好意の意味でも疑いの意味でも相手を悩ませる。トントンさんの己への厳しさはどんな軍人よりもある。プライドもまた然り。旦那様の優しさとトントンさんの厳しさ、あまりにも相性が悪かった。上辺だけを見るとそうだけれど、彼らは昔から一緒、言わば幼馴染。旦那様もそれを分かった上で毒を強くしてトントンさんの暴走(私は見たことはないけど)を制していたのだと思う。 10/10 20:18 PC iPhone
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