ソロル部屋
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129.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] そんなショッピが初めて人を殺したのは、十四歳の頃であった。いつものように拳銃で脅すだけのはずが、抵抗されて本当に撃ってしまった。声も立てずに崩れ落ちた男と広がる血を見て、ショッピの体に立っていられないほどの震えが走った。そのせいで、逃げ遅れた。そして今度こそ、恐れていた監獄行きになってしまった。だがそれが、彼の人生の転機となる。
「9517番、出ろ」
鉄格子越しに、ショッピのナンバーが呼ばれる。この監獄は十五歳までの少年が入る場所で、同じような境遇の多くの者が男女問わず収容されていた。彼の部屋は同じ年頃の少年が十二人ほどが詰め込まれていた。ショッピはここの混ぜ込まれた多くの人間の体臭や、どこかから流れてくる看守たちのくさい口から吐き出された煙草の匂いが大嫌いだった。この場所馴染めるやつは、頭に蛆がわいている奴らばかりである。だから毛頭仲良くする気などなく、いつも一人で三段ベッドの一番下へ寝転んでいた。あのスラムよりは圧倒的に環境がよく、風呂は少ないながらも入れる、極度の不潔からくる伝染病や感染症の心配もなく、炊き出しよりも簡単に飯にありつけた。犯罪を犯す者が後を絶たない理由がよく解ったものだった。だが、ショッピにとってここはまるで家畜小屋であった。ただ生かされ続けるだけの、四角い部屋があるだけだ。自分の生への渇望が、ここでは日に日に死んでいく気すらしていた。
ショッピはベッドから体を起こし、怠そうに立ち上がりながら人を縫って前へ出た。
「自分ですけど、なンですか?」
「いいから来い」
看守一人が自分の手に手錠をかけ、他の奴らが暴動を起こさないように残りの二人が見張る中、一人だけ共同の部屋から呼ばれて外へ出る彼に向けられる他の囚人からの目は、好奇に満ち満ちている。そんな目を気にすることもなく、真っすぐと前を向いて看守について行けば、なぜか面会室へと通された。自分に面会する者などいるのだろうかと、疑念が湧いてくる。そもそもそこまで親しい知り合いなどいない。もし面会人がいたとしてもそれはスラム街の仲間か、何度かビジネスの片棒を担いだカルテルの奴かどっちかだ。そんな奴らが面会なんかしてくるはずもなく、猶更首を捻る。普段の照明より明るく照らされた、小さな白い部屋に備え付けられている衝立付きのカウンターへ座らされた。 10/12 19:18 PC PC
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