ソロル部屋
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131.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] カレルのそう告げる声に、ショッピは真っすぐにその初老の男を見た。男の明るいブラウンの瞳は、嘘をついていない人間のものであった。
「条件って?」
「航空隊になるには、非常に厳しい訓練が待っている。もしもそこから逃げ出したり、逆らったり、ついて来られない者は、再びこの場所へと戻ってもらわなくてはならない。通常の陸軍仕官訓練を終えても、今度は戦闘機に乗るための訓練が待っている。そこでは細かい篩(ふるい)にかけられるようなものになるだろう。自分の力でのし上らなくては、生き残れない厳しい世界だ。通常の訓練が済んでいれば、恩赦は有効になるが、減刑になるだけだ。その者の犯した罪によっては、再びこの場所で過ごさなくてはならなくなるだろう」
カレルはショッピの罪状一覧に目を通し、苦笑を漏らす。
「そうか、小さな犯罪も重なれば、こんなに大きくなるか。君は窃盗や強奪などの罪で既に合わせて十五年の刑が確定しているうえに、略奪した拳銃で憲兵を撃ち殺して四十五年上乗せになっているようだな。トータル六十年……もし恩赦が出たとしても二十年の減刑にしかならん。あと四十年間ずっとここで生きていくつもりかね?」
「嫌だ」
胸の底から湧き上がってくる青白い焔が、ショッピを突き動かした。普段の冷静な彼からは考えられないような急いた音を立てて立ち上がれば、周囲の看守がそれを見て警戒を強める。妙な興奮状態で満たされたショッピの心臓には、消えぬ焔が宿り、彼自身をも燃やし尽くさんとする勢いで燃え盛る。
「俺を、連れ出してください。ここから」
「そうか、では、交渉成立だな。君はきっと優秀な飛行機乗りになれる。そんな目をしている」
カレルは立ち上がり、側の看守に何か指示を出して、先程の恩赦証書を手渡した。ついそれを真剣な目で追ってしまう。たかが紙切れだが、あれが自分の命綱であり、この手で自分の運命を切り開く大きな武器となる。 10/12 19:20 PC PC
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