ソロル部屋
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132.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] それからの生活は、覚悟はしていたものの非常に厳しいものであった。基礎の体力作りでは自分が苦手とする持久走などで何度も吐きそうになり、気を失いそうになった。しかし彼は足を踏ん張った。そのおかげか彼は成績も優秀で、乾いた土が水を吸い込むかの如く多くの知識も会得していった。士官学校での生活は、多くの知らなかったことを彼に教えてくれた。全てがうまくいきそうな興奮が、猶更自分を高みへと押し上げていく。しかしそんな生活に慣れてきたころ、彼に強烈な印象を与えた者が現れた。
初めて正式な階級がつき、軍寮内での共同生活をする上で、士官学校の先輩にあたる人間とバディを組み、日々の生活のルールを教えて貰うという面倒くさい決まり事に従わなければならない。特に孤高を愛するショッピには、連帯責任やバディなど、足手まといにしかならないものであった。なのに、一番苦手なタイプが自分のバディになってしまったのだ。
「よう! お前がショッピやな?」
グラウンドから戻ろうとしていた時、後ろからそう声をかけられた。タオルで汗を拭いながら声の方に振り返れば、見事なブロンドのいかにも体育会系らしい男が立っていた。良く鍛えられており、日焼けした顔いっぱいに見事な笑顔を作り、白い歯を見せて仁王立ちしている。背は自分よりもだいぶ高く、その鮮烈な真夏の抜けるような青空色の瞳が、まるで網膜に焼き付いたかの様に強烈な印象を持ってショッピの脳に残り続ける。
「どちらさん、です?」
「オイオイ、上官にそういう事いうもんとちゃうで、教官に見つかったらお前殴られるぞ」
「上官って言っても、アナタもまだ下士官じゃないッスか。しかも自分より一個だけ上の」
「なんや初対面なのに手厳しいな。まぁええやないか、案内したるからついて来ィや。準備できたら三号棟の入り口で集合な」
そんな時間の無駄には付き合えない、と口を挟もうとした時、相手の手が自分の顔の前に差し出され、ショッピはその紫水晶の目を丸くして言葉を喉へ詰まらせた。
「俺はコネシマっていうんや。よろしくな!!」
「……はぁ、まあ」
至近距離にもかかわらず、大声で自己紹介をするコネシマという男の勢いに圧倒され、すっかり自分のペースを乱されたショッピは、怪訝な表情で一歩下がってその手を軽く握り返した。 10/12 19:20 PC PC
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