ソロル部屋
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133.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] それからというもの、陸軍士官の基礎訓練が終わるまでは、何かとそのコネシマと一緒にいなくてはならなくなってしまった。やれ飯を食いに一緒に食堂へ、やれ風呂の時間が迫ってるから一緒に浴場へ、やれ寝る前の装備の確認と掃除を一緒に……割と器用で要領の良い自分は一々言われずともきちんと出来るのに、このコネシマという男はそれを口に出して確認しなければ気の済まない男であった。よく言えば気の利く者、悪く言えばお節介者だ。すっかりと自分のペースを彼に飲み込まれたショッピの我慢の限界を超えてしまいそうであった。
昼下がりの訓練前、ショッピは他の班の人間から煙草をくすね、誰もいない寮の裏へと回ってそれをふかしていた。煙草を覚えたのはドラッグカルテルの人間から勧められて数年前に吸い始めたのがきっかけだ。その煙草が純粋な煙草の成分だけだったかどうかは別としても、自分の習慣として離せぬものであった。しかしそれは軍の規律に反する。見つかればきっと、ただでは済まないだろう。しかし最近のコネシマ事案で溜まりに溜まったフラストレーションが暴発するのを抑えるためには、これが手っ取り早かったのだ。見つからなければいい、そう思っていた。
「オイ、貴様何してる!!」
鋭い声が聞こえ、まずいと思った。軍人というのはなぜこんなに気配を殺すことが癖付いているのだろうかと恨み言を思ったがもう遅い。そこには教官が立っており、ショッピは煙草を咄嗟に隠したが、かき消せなかった煙草の薫りが辺り一面に漂っており、とてもじゃないが言い逃れはできそうにもない。教官は早足でショッピの方へと近寄って、彼を思い切り殴り飛ばした。打たれ強い方だと自負していた自分の意識が一瞬ブラックアウトした。憲兵のパンチなど、子供の喧嘩のようなものに感じられるほど、教官の一打は重く速いものであった。口の中が切れ、煙草のほろ苦さの代わりに血の味が広がった。
「うっぐ……ゲホッ、げっほ……」
腹を殴られて昼食を戻さなかったのは幸いであったが、それよりも恐ろしいのは今後の処遇である。自分はこんな浅はかな行動ひとつで、またあの監獄に逆戻りになってしまうのだろうか。 10/12 19:21 PC PC
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