ソロル部屋
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134.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] 正直舐めていた、軍隊は外の世界とは違うのだ。後悔の念が今更湧いてきたが、もう弁明の余地もないだろう。自分は犯罪者上がりなのだから。スラム街にいた頃と同じように、倒れた自分を囲む数人の男の足が目に入り、まるで再びあの狭い路地に取り残された様な強烈なフラッシュバックに襲われる。目の前がかすみ、苦しさからではない涙がにじんだ。立て、と命令されるが、体が立ち上がり方を忘れたかのように言う事を聞かなかった。その時遠くからこちらへ向かって駆け込んでくる足音と、いつもは聞きたくない声が躍りこんできた。
「すいません、そいつが煙草吸ってたの、俺のせいなんですわ!!」
それはあのコネシマの、耳障りでやかましく、遠くからでもすぐに彼のものだと解るあの声であった。コネシマの足が、自分には背を向けた状態で前へと立っているのが目に入る。
「何、お前のせいだと?」
「そ、そうです。俺コイツのバディなんですわ。俺がコイツに男なら煙草ぐらいやってみろ言うて、そそのかしてもうたんですわ、いや〜ホンマにすいません!」
ショッピは歯を食いしばって、自分を庇っている男を、頬が腫れながらも信じられない顔で見上げる。何故彼は自分を庇っているのだろう。何のために? 自分に何の利益もないのに。奪い、殺し、騙しあう日常のスラム街ではこんな扱いを受けたことなどなかった。思わずショッピはコネシマのズボンの裾に手をかけていた。コネシマはその制止を振り払った。直後、彼の体は先ほどのショッピと同じように宙を舞った。
あのコネシマの仲裁のおかげで、ショッピは二週間の掃除当番といった雑務以上に罪を咎められずに済んだ。コネシマはバディとして上官としての責任を問われ、除隊も噂されたが一カ月の謹慎と減俸でこの事件は終結を見た。ショッピはコネシマが戻ってくるのを待っていたが、それよりも先に航空隊としての訓練を受けるため、この土地を離れる事となってしまった。自分が航空隊に選抜され名実ともに無罪放免になった事よりも、もう彼が自分のバディではなくなる事を知った時、彼の心はきゅうっと痛くなった。 10/12 19:22 PC PC
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