ソロル部屋
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135.[ねぇっつってんだろぉ! いい加減にしろ!] 歯に衣着せないコネシマの物言いはキツい面もあったものの、嘘のない彼の周囲にはいつも笑顔と明るい声があふれていた。それを憎々しく思っていた。なのに、馬鹿にしていたあの男が身を挺して自分を助けたのだ。ショッピは泣いた。監獄と変わらぬ安いパイプの三段ベッドの奥で、毛布に包まって人知れずに震えた。それが彼が覚えている限り、他人に対して流した初めての涙であった。
三年の訓練課程をすべて終え、ついに戦闘機乗りになった。一日も休むことなく繰り返した訓練と勉強は、その一秒一秒が彼の血肉へと昇華した。この時ショッピは十七歳、最年少の精鋭航空兵として実戦へと投入されることとなった。
「ショッピ二尉、よくやったな。君は自分自身の実力で、その地位を獲得したのだ」
「カレル大佐、ありがとうございます」
退官間近となったカレルに会いに、ショッピは彼の部屋へと訪れた。少しばかり白髪の増えたその大佐は、優しいブラウンの目で彼を労った。ショッピも少なからずこの大佐に恩を感じ、深々と頭を下げた。
「胸を張って往け。あの空はもはや、君の手の中にある。君のその目は高みから遠くまで戦況を見渡し、我がタミアラ国の守護の神兵となるだろう」
「そんな、大げさです。俺はやるべきことを、やるだけっす」
「ここからが本当のスタートだ、頑張り給え。期待している」
いつも地べたに這い蹲って、泥を舐めていた自分はもういない。ショッピは顔を真っすぐ上げて、カレルへ最敬礼を送る。
初めての出撃なのに、妙に心が静かだった。これから自分は国家の名のもとに人の命を奪いに行くのにだ、空恐ろしいほどに心が凪いでいる。それでも短い滑走路から愛機が浮きあがり、風を切って出撃した瞬間には、興奮を覚える。天地が解らなくなりそうな青空へと飲み込まれていく。重力加速度が体中に掛かり、体中の血液が脚へと下がっていくのが解る。G-LOCを起こさぬよう慎重に対処しながら、一気に高度を上げていく。今回は数機で隊を組み、前線の機銃掃射へと向かう任務であった。しかし途中から入ってきた情報によれば、自軍の師団が取り残されており、殲滅間近という惨憺たるものであった。 10/12 19:22 PC PC
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