ソロル部屋
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150.[機動的な財政戦略への投資の足掛かりを担うあたなか最前線] 冷たい水を両手ですくい上げ、パシャリと自分の頬に濡れた手を置いて、トントンは自分の目覚めたての意識をハッキリとさせた。さらさらと冷たい雨が降っており、寒さのせいか首の傷がしくしくと痛む。今回の作戦はかなり功を奏するだろう。そう思いながら陣地中央へと向かおうとしたところ、空気の動きを感じた。ここではそんな事、自分以外に起こし得ないのに。剣を抜き、踵に重心を置いて素早く振り返り、目の前に迫る刃を間一髪で自分のシャシュカへと当て、逸らす。まるでスローモーションの様に自分のマフラーが舞い、目の前のまだ少年の面影を残した男がその間へ見えた。刃を交えた衝撃で相手の口元を覆っていたシュマグが軽く外れ、夜露で濡れたアッシュベージュの髪の毛と、スフェーンの様に輝く珍しい瞳が見えた。その瞳は、驚きに丸く見開かれている。彼の肩に縫い付けられた星を見て、彼が素人ではなくプロの暗殺者である事が理解できた。剣を振るって相手と距離をとる。カランビットナイフでは不利だとベルトへ挿し込み、咄嗟にコンバットナイフへ持ちかえるところを見れば、まだ二十歳にもなっていない青年が只者ではないことはすぐに解る。相手の速さを考えれば、自分の構えるシャシュカではかなり不利だろうがやるしかない。
「コハブの血族の差し金か……その星は何度も目にしたことがある。少し前もミヨイクニ陸軍少将が暗殺されたばかりだ。その報告に上がっていた人物と、似ている、とても」
それを聞くとゾムは瞬きを一つ残して、走り込みながらフェイントを交えた下からの強い突きを放つ。自分を知られている? あれは完璧な殺しだったはず。そのフェイントをうまくやり過ごし、手首を反してはじき返す。一撃一撃を躱すことに徹底しており、急所が狙えない。小さな傷はいくつか作れても、それ以上の傷を作ることができない。シュマグの下で、小さく舌打ちする。腹の出た壮年の少将の五倍の報奨金が出るという意味が良く解った。鍛えられた筋肉は決して重すぎず、自在に動かされている。早く仕留めなければ、早く……周囲は敵だらけなのに、時間を稼がれてはまずい。一撃、二撃と重ねていくうちに、ゾムはふと、何か違和感を感じ始めた。目の前の男は周囲にいるであろう味方に助けを求める事もせず、ただ自分の攻撃を凌ぐばかりだ。これだけ金属同士のぶつかり合う音が響き渡っているのに。 10/29 19:33 PC PC
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