ソロル部屋
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153.[機動的な財政戦略への投資の足掛かりを担うあたなか最前線] 雨の中追ってくる相手の気配を背後へ感じながら、ゾムは駆けた。泥に足を取られ息のあがったこの状態で、これ以上の相手の重たい太刀を受けるのは辛い。体格差のある分自分の方が走る速度は上の様で、距離は保たれた。このまま川へと逃げ切れば、崖から飛び込んでしまえばいい。一気に飛び出そうとしたとき、ハッとした。川は連日の雨のせいで予想以上に水位が増し、流れも速かった。それでも振り向けば、敵がこちらへと向かってくるのが見えた。結局止まれば死しかない。可能性の残るうねる水の中へと身を投じれば、間一髪相手の腕から逃れられた。落下が始まる瞬間、泥を雑に払った肌の間から見える赤い瞳と、自分に向かって伸ばされた腕が見えた。そして険しい顔で何かを叫ぶ。
“掴まれ”
唇がそう動いた。ゾムはその瞬間、訳も分からぬまま相手の腕へと自分の腕を伸ばしていた。まるで自分の体が目の前の相手の命令にまるで叛けずに従うような感覚を味わいながら。だが違う、これは自分の中の、死に怯える心がそうさせているのだと瞬時に理解した。パシリと互いの指先だけが触れ、ゾムは腕を伸ばしたまま背中から水に落ち、全ての音と共に濁流にのみ込まれた。トントンは素早く起き上がると、剣を振るい、近くのテントを繋ぎ止めているロープを切り、それを川へと投げ込んだ。
遠くから教会の鐘の音がする。石壁の上へ腰を下ろしたまま膝を曲げて肘置きにし鐘の音を聞く。秋口の風が自分の伸びた前髪をさわさわと弄んだ。柔らかな昼の光を浴びながら、雲を眺めて思いを馳せる。
あの時必死に流れに抵抗し、対岸へと渡ろうとする途中、上流から長いロープが流れてきた。そのロープを必死に手繰り寄せて障害物へと引っ掛ければ、流れに抵抗することができた。水面から顔を出して必死に呼吸を繰り返し、酸素を体内へと送り込みながら、そのロープの端を指で確かめ確信する。
「……あいつ、なんで助けようとしたん。もう、訳わからんわ」 10/29 19:35 PC PC
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