ソロル部屋
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170.[科学者の懺悔] >>169
一体どれほどの人間が、あの悪魔を服用したのだろう。製造段階では、戦地に於いて不要な感情の影響を特に受けやすい者…つまりメンタルが弱い者に服用させると聞いていたが、結果的には何師団分もの人間が服用していたのではなかったか。確かに、服用しても理性を飛ばして猛獣のように見境なく暴れまわる、なんてことはない。だが、それでも服用前ほど人間らしい生活はできない。当然だ。例えば料理をする際、人間は火や刃物で負傷することを本能的に拒否するから、食材を切るときに包丁を持っていない手の指と共に均等に切ることも、食材を素手で持って手もろともこんがり焼く、なんてこともしない。しかしあの悪魔を服用すれば恐怖を感じる脳の組織を根こそぎ破壊するのでそんなことが容易に起こり得てしまう。悪魔やゾンビ薬、そんな言葉がこれほど似合う薬もそうないだろう。それを作り出してしまった自分は、そんな薬を求める極悪非道な人間は、一体何と形容するべきだろうか。マッドサイエンティストや外道なんて可愛らしい言葉では足りないだろう。そんな自分を、弟子は未だに感謝しているらしい。さすがに皮肉、なんてことはないだろうから本心だと信じたいが、彼が出会ったばかりの頃とは違いそうして好意を示してくれることが嬉しくもあり、心の痣を押されているような気分でもある。いっそのこと生成方法を提供して、本当に闇落ちしてしまおうかとも考えたことがあるが、業が深くなるだけだと自分の良心を自分で握り潰してしまう前にやめた。そのくらいならばこうして誰とも添い遂げることもなく一人戦争の遺跡として生きた方がずっといい。不意に玄関の方からかりかりとドアを引っ掻く音がする。恐らく猫が朝の散歩にでも行きたがっているのだろう。丸めて捨てた書類も処分しなくてはならない。やれやれと溜息を一つ吐いて立ち上がった。) 11/29 17:40 PC Android
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