夏の終わり
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昼下がりの午後に散歩をしようと庭へ出る。トントンはもうタミアラ領の奥にある叔父の家へと着いただろうか……そんなことを考えながら、サクサクと草を踏む。プランターにはトントンの育てていたハーブや観賞用の花が咲いている。現在は新しく連れてきた者が庭の手入れや農作物に詳しく、本人もそのように自然や動物たちと接するのが好きなようで、適任だ。その彼に庭仕事を全面的に譲ったようで、角を曲がるといつもの様に、元ミヨイクニの海軍だったという“ひとらんらん”がじょうろで花に水をやっていた。グルッペンはトントンと同じその黒髪が、日を浴びて艶めくのを見るのが好きであった。 「精が出るな、こんな炎天下でも手入れをしているなんて」 そう声をかければ彼ははたと手を止めて、自分の目の上に手でひさしを作って声の主を見た。 「グルッペン。うん、こんなに暑くちゃ花たちが弱っちゃうからね。ここには冷たい井戸水もあるし、みんな喜んでるよ」 「フフフ、そうか。確かにお前が来てから、花や植物が本当に喜んでいるようだ。ゾムも随分と活動的になったようだしな」 ゾムはと言えば、ひとらんらんに貰った狼犬を気に入り大切にしているらしく、今も絶賛散歩中である。一日に三回は散歩に行くんだと意気込んで見せた彼の屈託のない笑顔は、当初ここに来た時とは比べ物にならない程の明るさで咲き誇っている。 「逆にワンコの方が疲労でぐったりしちゃうぐらい、どこにでも連れまわしてるみたいで……」 「ハハ、アイツらしい。だが従順で逞しく育てば、この屋敷の番犬にでもなるだろう。もしかしたら悪霊も寄せ付けなくなるかもしれんな」 「あ〜、あり得るね」 ひとらんらんはそう言うと、畜舎の方へ行きたいと言って、じょうろを置いていった。一人残されたグルッペンの目に、薄紫の可憐な花が目に入る。その花にそっと近付き、その前で恭しく膝を折る。
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