夏の終わり
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「きっとあの子は、日常的に虐待を受けてきたに違いない。私の手が自分の頭に近付くのを、とても嫌がったから」 家へと戻ったゲラルトは、妻へ少年の容態を報告し、リビングの椅子へと腰かけた。妻はゲラルトの前に簡単な料理とバーボンの瓶、彼のお気に入りのグラスを置いた。 「そう、それで、あの子をどうするつもりですか?」 「連れて帰る。彼を生家へ帰しては、きっといつかまた傷つき、今度こそ命を落とすかもしれない。山間部の方ではまだ、赤い瞳は忌諱されているからな」 銀のフォークを手に取り、妻の料理に舌鼓を打つ。味を褒めると、妻は嬉しそうに微笑んだ。 「お前の負担が増えるかもしれないのは申し訳ないが」 「何を仰っているんですか。一人目の出産の負担が大きく、二人目が無理と解った時、私はあなたに申し訳が立たなかったわ。だけど神様はもう一人の子を、違う形で授けてくださったのではないですか」 妻の言葉にゲラルトは一瞬言葉に詰まったが、椅子から立って彼女の側へ寄ると、お前が伴侶で本当に良かったと感謝を告げ肩を抱いた。 退院日になり、元々自分の着ていたボロ着が、綺麗に洗濯されたものを身に纏ったトントンは、看護師に付き添われ病院のホールで人を待っていた。 「そろそろゲラルト将校がお見えになると思うわ」 「そうですか……あの、お世話になりました」 目を合わさずに、ぺこりと頭を下げる。きっとあの軍人が、自分の家族を見つけて連絡を取ったのだろう。あの家に帰れば、またあの地獄の日々が始まる。だが、入院して体が回復し、食事も三食頂けたおかげで、あの生活にもしばらくは耐えられそうだ。そんなことを考えていると、正面の玄関口に大きな軍用の車がとまり、中から一人の男が降りてきた。ゲラルトだ。トントンは立ち上がると、ゲラルトの方へと歩み寄った。 「やぁ、すっかり顔色もよくなったね」 「あ……おかげ、さまで」 トントンはその軍人にも頭を下げる。 「助けて頂いてありがとうございました。あの……」 「無理に言葉を紡がなくても良い。トントン君、だったね。さぁ行こう。君の家まで送っていこう」
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