夏の終わり
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「別に本物の鰯が飛んでくるわけじゃない。あの様子が鰯の群れたところにそっくりなんだ。あとで図鑑を見せてやるよ」 「そうなんだ……本物が飛んで来たら、お腹いっぱい食べられるのにね」 「トン助は面白いな。ハハハ!」 きっと今、自分はすごく間抜けな事を言っているんだろうな、と、グルッペンの反応を見て思う。彼は心底楽しそうに腹を抱えて笑っている。本物の鰯を見た事がない自分がそんなに面白いのだろうか。 「鰯はなんで群れるか知ってるか?」 「えっ……うーん。小さいから?」 「別に小さいだけじゃ群れる必要なんかないやろ」 「そっか……じゃあ、そういう習性だから」 「オイオイ、そんなん言うたらなんでもかんでもそうなってしまうだろう」 「そうだけど。じゃあ、何でなの?」 そう聞くと、グルッペンはニカっと笑って、それは個々が弱いからや、と教えてくれた。 「単体で狙われれば、弱いものはすぐ死んでしまう。だが数千、数万と集まれば、それは敵の目を欺き、一人に対する危険は格段に下がるだろう。希釈効果って言うんや」 「……へぇ」 「へぇってお前、今の理解できてるのか?」 「いや、あんまり……」 ブッと吹き出して、グルッペンが再び笑い出す。 「素直なことはええことやけど、面白すぎんで」 「なんか馬鹿にされてる感じがするけど……」 「されないようにするには、どうしたらええと思う?」 馬鹿にされないようにする? トントンはそんなことは考え付いたことがなかった。自分の存在は、常に誰かから否定されるべきであると、ずっと思っていたから。 「人前に出ない、とか」 「お前はやられっぱなしで悔しくはないんか?」 悔しい……か、もうとっくに理不尽には慣れた。 「うーん、別に。物とか盗られるのは、困るなあって思うけど……」
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