夏の終わり
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『All is fair in Love and War.』 冬が来る。戦場に深々と降り積もる雪を、ここにいる者達は幾度も経験してきたことだろう。瓦礫ばかりであった町も人々の手によって段々と修復され、日に日に窓辺に灯る明かりも増えてきている。ここタミアラ国の主要な領土にはミヨイクニの軍旗が立ち並び、多くの土地が占領にあっている。幸いグルッペンの所有する屋敷は町はずれに佇んでおり、今のところは何ともない。が、いつミヨイクニの軍がここを包囲してもおかしくはない状況である。 死者と生者が、同じ空間で暮らしている……これは世間から見ればきっと異常な事だろうが、ここではそれが成り立っているのだ。だからという訳でもないが、ここに住んでいる者たちは生死問わず皆、何かしらの事情を抱えたものばかりであった。この大陸全土を巻き込んだ戦争は泥沼と化し、幾度となく大きな衝突が起こり、多くの血が大地へと滲み込んでいった。 幽世を揺蕩う死者達は、この世に強い後悔を残し、冥府の門をたたく事のできなかった者達である。生き残った者は心と体に大きな傷を負い、離別の苦しみは身を引き裂かれるよりも遥かに辛く、苦しんでいる。 そんな存在同士が、敵味方関係なく手を取りあい、寄り添いあって生きている。この場所も、この絆も、彼らにとっては最後のサンクチュアリである。これ以上の争いによって断たれる事は、断固阻止せねばならない。 灰色の空の下、舗装の追い付いていない砂利道を、馬でゆっくりと進んで行く。ザク、ザク踏み進める馬の蹄に当たる小石が、蹴り飛ばされてぱらりと転がる。馬上で周囲を警戒しているのはマントの下にいくつかの武器を隠し、フードを目深に被ったトントンと、トントンに抱えられるような恰好で前側へ跨っているショッピであった。とはいえ、ショッピは死者のため、他人からは見えていない。屋敷から暫く離れた重要拠点に元空軍の彼を連れてきたのには訳があった。空から戦況を見ていた彼には、地形を掌握できる能力がある。 「どう? 覚えとる?」 「ええ、問題なく。この辺りは激戦区で、地形は頭に叩き込んでありますから」 ショッピの静かだが揺らがぬ自信の籠った声を聴き、トントンは感心に赤い目を細めて頷いた。
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