夏の終わり
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トントンは苦笑しながらも、自分の想い人はどこでなにをしているのだろうと思いながら顎を撫でる。見に行きたいところではあったが、もう夕方だ。食事の準備をしなくてはならないと思い直す。 「キャベツがあるなら、今夜はポトフやロールキャベツにしようかな」 「手伝うめう!」 「俺もやるよ」 最近はこうやって料理を手伝ってくれる人も増え、最初は戦争を引きずりギスギスしていたこの暮らしも、温もりで満たされている。この幸せな時と場所が永遠に続くことを、誰もが願っていた。 「っはぁ〜っ! 疲れたぁ……!」 ドスンと玄関に腰を下ろし、ギッチリと締め上げたタクティカルブーツの紐を解くのは、この屋敷随一の身体能力を持つゾムであった。戦後フリーランスで軍属している彼は毎日が忙しく、帰ってくるのは大体皆の夕食の時間が過ぎてからだ。任務によっては帰ってこられない時も多く、しかし律義にわざわざ遠くのこの場所まで戻ってくる。その背中に、聞くだけで脱力しそうな声が投げかけられる。 「お帰り〜。どうやった?」 「あ、大先生。うーん……やっぱりあんまりよくないんよな。思ったよりタミアラの残党が多くて、各地で小さな紛争が起こっとる。それを鎮めるのに、ミヨイ側が結構な軍隊を投入してきとるらしいねん」 「そっか、まぁまぁ、お疲れさん。今日はトンち達が作ってくれたロールキャベツがあんで」 「ロールキャベツ!? めっちゃ久々やわ〜! イフリートに挨拶して、餌やったらすぐ行くわ」 食べ物の話になると、彼は目を輝かせた。廊下の壁にもたれかかってポケットに手を入れている鬱は、その様子を見て“まるで正反対”だと感じた。何が正反対かと言えば、この目の前の“脅威”と呼ばれる彼と、彼の側にいるあの小さな幽霊の事だ。ミヨイクニで狙撃手として単騎活躍していたロボロという人物は、あまりこの屋敷にも居ついておらず、たまに現れてはまた消える。そんな神出鬼没の彼が、生の力に満ち溢れたこの男には心を赦したらしいのだから、何を考えているのか尚更解らなくなった。鬱はその誰にも理解されない速度で動く思考回路で、彼らの思考パターンを探ろうとしている自分に気付き、これだけは生前から変わらないな、と微かに口の端を上げる。
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