夏の終わり
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『亡者浸る夜』 青白い月の光、ロウソクをぽつんと一つだけで照らした暗い部屋にゆらゆら静かに入ってくる。ロウソクを置いた丸いチョコレートのような色のテーブルには黒い革のブックカバーをつけた本が一冊、ロウソクのオレンジ色の光にゆっくり照らされていた。 その本の表紙をごつごつと角ばった細い指がなぞる。その手の主は幽霊だ。月光に当たり、青白く光っている糸のような金色の髪は半透明に透け、白い肌は白く輝き、灰色の瞳は水面のようにきらきらとしていた。その目は黒い革の本に関心のない冷たい視線を向けていた。なぞった表紙を少し乱暴だけど丁寧に開くと、表紙はぴりりと小さく悲鳴をあげた。開いた左のページには、『消えてしまった我が友たち。』という題名と、それの著者が書いてある。目次を飛ばし、本文に入る。 そこには、この美多戦争で多くの仲間を失ってしまった生存者の悲しみを綴った体験談だった。この前、テレビで話題だと言っていたから買ってきてもらったが、死人が見るようなものではなかった。死んでしまった仲間のことがつらつらと、実名を堂々と出して書いてあるのだ。そこには、この本を読んでいる彼の名前もあったが、事実とは違い、大層仲がよかったという内容が書かれてあった。丸で親友であった彼の恋人、トントンの立ち位置にいたような書き方でふつふつと、弱かった火がだんだん強くなるようないらいらを感じる。最後まで読みきると、本を閉じ深く深く息を吐く。こんなのはでっち上げだなんて心の中で怒ると、ロウソクを消し、立ち上がる。そして、堂々とした歩き方でこの部屋を出て行く。部屋に残った本と燭台は、青い月光に静かに照らされていた。
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