夏の終わり
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「ぐ、るっ、ぺん」 項垂れた彼の頬を包むように両手で支え、ゆっくりと上を向かせる。閉じきらぬ瞼から見えた灰色の瞳は、あの美しさを失っていた。だが間違えるはずはない、やはりそれはグルッペンの亡骸であった。それでもトントンは、グルッペンに呼びかけ続ける。彼の名を、何度も何度も呼びかけ、返答を待った。そのうち声は掠れ、涙がこみ上げ、砂の上に幾つもの暗く歪んだ円を浮かび上がらせる。 「グル、さん。グルさん、グルさん、う、嘘や、嘘や……俺が、俺が殺した。アンタを、アンタを」 グルッペンの膝に凭れ掛かるようにして、若い兵士が亡くなっている。それを見て、彼がどんな最期を迎えたのかを理解し、引き攣った悲鳴が喉奥から漏れた。 本当に“死は平等”なのだろうか。トントンは彼の躯(むくろ)を抱きしめ泣いた。彼の顔は、驚くほど綺麗なままだ。だがその体が再び自ら動き出すことはない。首を腕で支え、砂粒の付いた唇へと、キスをした。トントンの流した涙が、グルッペンの頬へと零れては幾筋の道を作りながら流れ落ちる。首の傷がやけに痛んだ。 俺たちはどこで間違ったのだろう。自分たちで結んだはずの絆を、自らの手でほどいてしまった。日が落ち、空が焼ける。三日月が白く輝いている。誰もいない瓦礫の街で、残された男は自らへの怒りを空へと叫ぶ。その慟哭は、夜になっても止むことを知らない。 完 【 if もしも自分の師団が壊滅することが無かったら】
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