夏の終わり
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『はじめまして、親友』 「グルッペン、大切な話があるから聞いてほしい」 ご飯を食べ終わり、テレビを見ていると不意に父にそう話しかけられる。なんだろう、と思いながら父の正面に座る。大切ならとテレビも消して。 「なーに?父上」 じっと真剣な顔の父を見ながら、首を傾げてそう言う。父はテーブルに肘をつくと手を組んで話し始める。 「実は、この家に住む予定の子がいるんだ」 「住む?従兄弟のアーベルが来るの?」 「いや、他の子だ。あくまで予定だが、住むことにはなるだろう」 「誰なの?ここに住む子って」 「トントンっていう男の子だ。黒髪で……ちょっと肌が焼けてるよ。今は、病院にいるんだ」 「なんで?なんで、病院にいるの?」 「それは……お前が、あの子と仲良くなったら教えるよ。今は、言えない」 「そう……」 父はすこし悲しそうな顔で言った。きっと、何か大変なわけがあるんだと幼いながら思うと、ニコッと笑って 「大丈夫!遊んでくれるんやろ?その子、いつうちに来るの?」 「3日後に退院だ。その日に生家に戻るか、うちに来るかを聞く。その時は、グルッペンも一緒に来てほしい。学校が終わったら迎えに行くね」 「うん、ありがとう。楽しみだ、父上」 また可愛らしく笑うと、椅子から立ち上がって元気よく風呂場に向かう。 「ごめんな。グルッペン」 父は、グルッペンの小さな背中を見るとそう呟いて。
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