夏の終わり
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「そういえば明日、来るよなついに」 「来るって何が?」 「監査や監査! お偉いさんが来るんや。聞いたことあるやろ?」 「あぁ……その件」 内部監査に来るという男は、一農民出身でありながら、まだ二十代半ばという若さで陸軍少佐にまで成り上がった男であった。自他共に大変に厳しい人物で、人を寄せ付けない雰囲気を持っていると聞いたことがあった。まさかこんな辺境の地まで足を運んでくるとは夢にも思っていなかった。明日はこの拠点が、普段の緩さとはかけ離れて仰々しくなるに違いない。それを想像すると鬱はため息を吐いた。 「こんな場所来たって何もないやんけ」 「ホンマそれな。内部監査自体はこの規模やし、なんもなきゃすぐに終わると思うが、問題はその後やねん」 「なんや、まだあるんかいな」 「いやお前……回って来とるやろ?」 「何がやねん」 「会食があるやろ!? そっちにはあのグルッペン中佐が来んねんぞ!?」 「あ? マ? マジか?」 それを受けてコネシマは頭に手を当ててはぁーっとため息を吐いた。彼の息が冷され、白く見える。グルッペンは先ほど述べた内部監査役の少佐である男の上司に当たり、軍人の家系であるフューラー家の血を継いだ、タミアラ国の期待株の一人であった。ただ銘家というだけでなくその実力は折り紙付きで、特に剣術と知力に優れ、彼の齎(もたら)した勝利は数知れない。同じタミアラ国陸軍に所属していてもなかなかまみえる事の叶わぬその男と、この閑散とした地で会食がある。 「いやあのな、鬱。少尉以上は参加やで? 来とったやろ、一週間前ぐらいに連絡が」 「はぁ〜? そんなモン…………あ」 仕事から手が離せず、大切な知らせだという書類を見もせずに、机の端へと置いておいた。それがいつの間にかクシャクシャになっており、しかもその上にコーヒーをこぼして慌ててごみ箱に捨てた。そんな事が脳裏をかすめるように思い出され、鬱は寒空の下冷や汗をかいた。
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