夏の終わり
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「やだなぁトンち、笑えるやん普通に」 ガシャン、とナイフをとり落す音が聞こえた。まずい、そう思った時には、グルッペンの隣の男の目には、憤怒の炎が宿っていた。やっと氷解した場の雰囲気が再び凍てつく。当たり前だ、階級が違い過ぎて、そんな軽口を叩く事は絶対に許されることではない。トントンの肩越しにコネシマと目が合った。彼も見たことのないような緊張した面持ちをしていた。あぁ殺される、本能的にそう感じ、息が詰まった。 「貴様、それは侮辱……」 「トンち? ハッハッハッハ! いいあだ名じゃないかトントン!」 底抜けに明るい声が、その絶対零度の殺気を遮った。それは屈託のない笑顔を見せる、グルッペンその人だ。彼の笑顔は氷河を溶かす初夏の太陽のようであった。鬱はそうやって、これまでに幾度となく彼に助けられてきた。グルッペンは一頻り笑えば、苦虫を噛み潰したような顔のままのトントンの肩を叩く。 「グルさん、しかし今のは……」 「まぁまぁ、今日はいいじゃないか、なぁ。鬱は俺の友なんだ。きっとお前に親しみを感じたんだろう、許してやって欲しい」 「まぁ、アンタが言うなら」 驚くほど素直に引き下がるトントンを見て、腰を抜かしかけた鬱は目を白黒させていた。グルッペンの一言で、あの全てを燃やし尽くしそうな怒りの炎が、一瞬でかき消された。と、同時に、彼らの深い絆を見せつけられたような気がして、今まで一番近しいと思っていたグルッペンが、遠くへ行ってしまうような寂しさを味わった。 「も、申し訳ありません……」 「いい、気にするな。だが次はない」 トントンへと謝罪を述べれば、彼はもう料理へと向かっており、短く“許し”を告げられた。グルッペンがいなければ、自分はこの場で彼の剣の錆になっていただろう。 「では、拠点は任せたぞ。今後とも奮闘を頼む」 夕暮れ時、軍用車へ乗り込むグルッペンとトントンの見送りをするため、冷え込んだ外へと出る。冬の昼は短く、まだ三時だというのにもう日が落ちかけており、あたりに闇が降る前兆であった。 「道中くれぐれもお気をつけて」
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