夏の終わり
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…それがまさか、こんな形で彼と再開するとは。 あれから快復し、戦場に銃を片手に乗り込んで、とりあえず自軍本陣に顔を出した。 仄かにかおる弾薬や血、砂の匂いはまさしく戦場と思わせるにおいで、久しぶりの事だった。 奥の簡易寝台に寝そべる見慣れた金髪の肌は血の気が失せ、もう息もなかった。 悲しく思えることも無く、土を掘って彼をその穴に寝せ、土をかぶせる。 彼の剣に彼の名前を刻み、その柔らかい土に突き立て、簡易の墓をたてる。 そしてその墓前にしゃがみ込めば、あの時と同じようにドックタグを抱いて、ぎりと歯を食いしばる。 涙はまだ流せない。 手記の時はあの数ヶ月前の日で止まったまま、自身の手の中にある。 彼は戦に生き、戦に死んだ。 共に軍人を志したあの日からこの結末は見えていたことだ。 どちらかが 死に絶え別れを告げる。 軍人として生きるなら避けては通れない道なのだから。 けれど何故思慕した、恋慕した相手を損なわなければいけないのか。 何故自分じゃないのか。 そういう虚しさだけが残った。 自身は空虚でただの入れ物でしかなくなってしまったのだ。 右目を失ったことがトラウマで、戦にもまともに出れず、前線に復帰出来ることがなかった。 こんな生き方、誰も望むわけもない。 彼の死の報せで漸く外には顔を出せた訳だが、自身も絶とうとした命が、手記が、ドックタグが、自身をこの生き地獄に残留させた。 絶とうにも絶つことの出来ない世界から救われる術があればいいのにと何度も祈り、そして夜を越えてきた。
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