夏の終わり
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何度も、何十度も、幾度となく抜けてきた。 代わり映えのない日々を、代わり映えのない夜を。 だけどその中で代わりもしないのは真っ暗な心で、彼がいなければ光が入ることすらままならないほどの暗闇。 それが明ける日が遂に来たる。 それは夢のようでどこか現実味を帯びたような所だった。彼が生きているはずもない、なのに彼が目の前に立っていた。 床も壁も天井も、境目が分からないくらいに真っ暗なその空間で、彼と二人向かい合って立っていた。 互いに気まずく、目を合わせることも、声を発することも出来なかった。 その沈黙を破るようにロゼットは重く口を開いた。 「…ごめん」 その言葉にばっと驚いて彼の顔を見る。 死んだのは彼のせいじゃないのに。 怯えて戦に触れようとしなかった俺のせいなのに。 伝えたいことが、なみなみならん想いは沢山あるのに、どうにも言葉にはならずにはくはくと口を開閉させるだけに終わった。 「そ、んな。…お前のせいや、ロゼットのせいや、無い。」 緩やかに首を振りながら、彼のせいではないと否定することしか出来なかった。 彼はそんな自分の姿を見て、困ったように美しく口角を上げて笑った。 「その言葉が聞けてなにより…かな。」 そっと頬を包みながら目を閉じて優しく微笑んだ。その手に温もりはない。 しかし彼の優しさという体温は確かに宿っているようで、しばらく流していなかった星屑が目の端から零れて彼の手をすり抜けて服に零れた。 彼がこの世のものでは無いと実感させてさらに零れる。 それでも彼が拭うような動作に払われる雫もあるような気がして、不思議でならなかった。 「俺が怯えてなかったら…お前を死なせないように代わりに出れたのかな。」 ぽつりと呟いた言葉は珍しく彼の否定的な言葉を生み出す要因となったようだ。 「違うよ。ロボロのせいでもない。…俺とお前、どっちのせいでも。」 翠玉にじっと、見つめられてはぐっと言葉を飲み込む。 昔から、知り合った時からこの瞳には言葉を吐かされたり止めさせられたりと色々だった。 何度歪んだこの気持ちをさらけ出しそうになったことか、気苦労も知らず彼はにこにこと笑顔を浮かべるし。 しかしそれも今は愛しい記憶の1つでしかない。 ふっと笑みを浮かべて実体のない彼の胸に埋まった。
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