夏の終わり
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こうして邂逅の時間は終わり、夢から覚めたようにふと目を開くと自室に戻っていた。 彼の優しさに浸った入れ物はそれを使って生きようかと、そっと思い出を指でなぞりながら1人で微笑んだ。 微笑浮かべたまま、涙を流してそっと胸に手を押し当てる。 首にかけられたネックレスにつけられたドックタグも巻き込んで。 「…俺ら、まだ一緒やったんや。ロゼット、」 互いが互いのために自身を責め続け、生きたものは後悔に追われ生き、死したものは戦による生殺与奪の償いをしながらも後悔を引きずった。 どちらが死んでいても同じだったろう。彼らは根本から似ていた。 だからこそのタッグだったのだろうけど。 なんて1人ごちて笑い、準備を済ませる。この戦に終止符を打つために、隻眼の戦士は剣を鬻いで戦に足を運んだ。 彼の橙の瞳から零れた涙はきらきらと朝日に反射して服を濡らした。 右目にはまだ、包帯がかけられているが…まだ、この悲しみは払拭できそうにない。 彼を失った悲しみは。 しかし優しさはいずれそれを上回るだろうから、今は辛くとも、この悲しみと共に。 …生きよう。 彼のため、自分のため。 彼に救われたこの入れ物は彼の温もりで満たされて、人形から人間に昇華したのだ。 その日の戦はかつてないほどに功績をあげ、あの、A-2-4地区をミヨイの月旗で染め上げ制圧した。 その戦で彼は部下を庇って立ち回り、また大ケガを背負ったみたいだが。 しかし、やはりまだスコープを覗くのが怖いのだろう。 射撃演習もハンドガンなどのものしか出席していないらしい。 180度変わった彼を見守る不確かな輪郭のものが空にあった。 地上を僅か上空から見下ろしながら、やれやれとロゼットは肩を竦めて溜め息を吐く。 その後、何かに呼ばれたのか弾かれたように姿を消してぱっと痕跡を残さず消えていった。 その空を、ぼうっと橙の片眼は見つめていた。
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