夏の終わり
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それだけだったのに、翌日彼の容態は急激に悪化し、著しく体温は上がり、咳もつらそうであった。 面倒は自分が見ることになったのだが、生憎甘えられる感じでもなく、妙な沈黙が彼との間に起こる。 自身はその間、すぐ温くなるタオルをせっせと替えてを繰り返していた。 その手を彼はじーっと見つめた。 まぁそれもそうだろう、あまり晒さない手足がこれまでぼろぼろなら1人や2人見る人間くらいいる。 しかし問われなかったため普通にスルーし、何か食べたいものは無いかと問いかける。特にないらしく、むしろその事を考えられないと考えられないぐらいには咳や、熱に魘され大変そうだ。 身体を起こすのも大変そうなのに、彼は自身がいる間ずっと身体を起こしていた。 しかし意識はあやしいらしく、何かの度にぐらぐらと頭が揺れるのは見るに堪えない。 肩をそっと両手で押し、布団につけさせてやる。 そして布団を肩までかけてやれば、彼が寝られるように頭を撫で、懐かしく思いながら祖国の子守唄を歌う。 彼には馴染みはないだろう。 さて歌い出そうとした時袖をひかれ、はてと首を傾げて彼を見る。 甘え方を知らないこの脅威…死神という男は案外寂しがり屋だったらしい。今日ばかりはこれに付け込ませてもらおうか、と彼を抱き締め、頭を撫で、背を撫でる。 その動作で眠気が来たのか、首はこくりこくりと船を漕ぎ、目は閉じていた。 彼はこれを望まないかもしれないが、子守唄を歌う。 申し訳なかったがしかし、これを歌う自身はとても感慨深く、そして楽しかった。 彼のため、と称して歌うのに自分が嬉しくなってどうするのかと思ったが、彼は案外すんなりと深い眠りへと移ってくれた。 薄く開いた唇がちょっぴり扇情的で、こっそり唇を重ね合わせた。 伝染して楽になって欲しいともあったと正当化しながら唇を離し、その安らかな寝顔を邪魔しないように頬を撫で、彼の身体を倒した。 その綻んだ顔を見ていると自身も眠気に襲われるようで、床に座って、壁に凭れて目を閉じた。
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