夏の終わり
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もはやドラッグカルテルの勢力は国の手には負えず、憲兵もそれを知ってか本気ではやりあわない。やりあえば現場の人間が死ぬのだから。 「お縄についてもらおう……ん? コイツ、なかなか綺麗な顔してやがるな」 少年の顔の横においた足で、横を向いた顔を無理やり正面に向けさせる。少年の肌は透き通る様に白く、その瞳は切れ長で珍しい紫色をしていた。煤や泥で汚れていなければ色っぽく、栗色の髪から見える細面が男娼のような雰囲気を持ち合わせていた。 「なかなかいいな、今までのよりも良さそうだ」 「お前も好きだな、もうそれで何人潰してきてるんだよ」 「さぁな、もう数えられない。しかしどうせここでガキが一人死んでいたって、何も不自然じゃない。ドラッグのやりすぎかカルテルのせいになるだけだろ」 「ハハハ、違いないな」 聞くにも堪えられないような悍ましい会話が聞こえ、少年は泥の中にあった光るものを手に取った。それを小さな掌に握り、隠す。そのうち一人の男がカチャカチャとベルトを外し始め、事に及ぼうとズボンを下ろした瞬間、少年は動いた。ありったけの力を籠め、相手の鎌首を擡げ始めた欲望の象徴へ向け、ガラスの破片を力いっぱい突き立てた。自分の掌もガラスが傷つけ、血が流れる。ぎゃあっと汚らしい悲鳴が上がり、少年はその隙を見て何かに気付き、一度地面に手をついてから逃げ出した。蹴られた脇腹が痛く、必死でそこを押さえながら身を隠せる自分のテリトリーへと走って逃げた。肋骨に入ったひびのせいで、足をつくたび呻きと涙が零れた。崩れた石壁の隙間から見える冬の灰色な空が、彼を孤独たらしめる。近くの壁にとまっていた鳩が大きな羽ばたきを残して空へと舞い上がった。懸命に翼を動かすその姿を見送りながら、少年は目を閉じて雲の向こうの青空を心に想い描く。あんな小さな鳥でも羽ばたいてどこへでも行けることが、彼にとっては羨ましく、そしてそんな女々しい自分を強烈に嫌いになる要因でもあった。今夜は空腹に耐えながら眠るしかないだろう。 「オイ“しょっ引かれ”、生きてるか?」
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