夏の終わり
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誰かの声で目を覚ます。同じ番街をテリトリーとしている他の仲間が、どうやら街の教会のミサの帰りに炊き出しにありつけたらしく、パンとスープの入った椀を持ってやってきた。その匂いで目を覚ますと、同じ齢程の数人が上がりこんできた。体の痛みは酷く、特に肋骨は寒さもあってかじんじんと痛む。体を起こして壁に凭れれば、仲間の一人がパンとスープを少しずつ分けてくれた。 「お前、すげえよ。憲兵に連れて行かれて戻ってくるなんてさ」 「ああ、もう駄目かと思ったよ」 仲間に口々に褒められて、少年は少しだけ目を細めて口の端をあげて見せた。この世界では強い者が勝つ。強い者も周囲には人が集まり、弱い者はうち捨てられるのが世の常であった。食事の礼に“しょっ引かれ”と呼ばれた少年は、自分の後ろポッケに詰め込んでいた、あの憲兵から咄嗟に奪って逃げたリボルバーをゴトリと彼らの前へと置いた。一瞬彼らの目が、鋭く光る。驚く者、警戒する者、野心を見せる者……そのような目を少年はよく知っていた。 「これを使ってもっと奪う、武器を。あんな豚共にいつまでも、やられっぱなしじゃ、悔しいでしょ」 「そ、そうだな。お前の言う通りだ!」 「やろう、お前に従うよ“しょっ引かれ”」 彼は生まれた時からここへ捨てられていたのか、はたまた誘拐でもされてきたのか、それすら不明であった。自分の本当の名前すらなく、“しょっ引かれ”と呼ばれていた。それがいつしか愛称となり、彼の名前は“ショッピ”におさまった。彼は拳銃以外に、大きな武器を持っていた。それは彼自身の目であった。彼の目は暗い中でも、遠くを見渡すことができた。視力に優れ、敵の数や動きなどをつぶさに観察し、自分と仲間の動きをきちんと計算することができた。このおかげで武器は難なく集まっていった。そしてショッピの元には憲兵に一矢報いてやろうとする者が多く集った。だがショッピはそれらをあまり信用してはいなかった。武器も自分しか知らない場所へ隠し、誰にも教えなかった。それでも彼はその番街で名を挙げ、はじめて生きるための“力”を手にしたのであった。
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