夏の終わり
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己の姿だけがぽかりとそこに浮いた存在になっているようで、その居心地の悪さに殆ど無意識に足をもじもじと動かす。やがて強化ガラスの向こう側の廊下から誰かの足音が聞こえ、対面のドアが開く。そこに現れたのはカルテルの人間でも仲間でもなく、見覚えのない人間だ。 「君が9517番……いや、スラム街の君のお仲間からは“ショッピ”と呼ばれている者か」 低く響く声。ジロッと相手を目だけ動かして見てみれば、それは憲兵とは違う軍服であった。そんな奴がなぜ自分の名を知っているのか、こんな怪しい奴に何故自分の事を探られているのか……ショッピはアメジストのような虹彩の切れ長の瞳を細めて、黙秘の意思を相手へと投げつける。それを察してか、相手はゆっくりとガラス越しに近付いて、向かいの席へと腰を下ろした。相手の顔が余裕綽々なのが気にくわず、ショッピの心にフラストレーションが湧き上がってくる。しかしそれも、一瞬でかき消されることとなる。 「これが何か解るか?」 平たい鞄の中から相手が取り出しショッピに見せたものは、ショッピの心臓を大きく跳ね上がらせた。それは恩赦証書――つまりショッピの罪を問わないという証書であった。 「なっ、ん……」 「初めて動揺を見せたな、それでいい」 初老の眼光鋭い男は、強化ガラスを挟んだカウンターへその証書を、ショッピの方へ向け、わざと見せつけるように置いた。自分がそれを欲している事を悟られてしまい、ショッピは唇を噛んだ。このガラスさえなければ、どんな手段を使ってでも奪い取るのにと静かに相手を睨みつけた。 「まあ黙秘していたまえ、私が一方的に話す。この証書は我がタミアラ国の正式なものだ。私はタミアラ国陸軍航空隊大佐のカレルと申す。率直に言おう、我がタミアラ国の航空隊は、優秀な人材を欲している。一五歳までの少年たちを集わせ、大規模な集団での訓練を行い、優秀な航空隊員にする事が我が使命である。選ぶのは君だ」 「……航空、隊」 心臓がバクバクと鼓動し、耳の奥からも聞こえてくる。静かな興奮が舌の上の水分を奪う。これがもし本当なのだとしたら、ショッピにとっては僥倖な申し出であった。 「ただ条件がある」
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