夏の終わり
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分けてあげる、と聞いたゾムの目は先程よりも輝きを増した。 「ホンマにええん?」 「うん、だってゾムは親友だもん」 ユミトとは母にここへ連れてこられて以来の大親友で、毎日のようにこの狭い共同生活スペースで暮らしている。ゾムよりも背が高く力もある、兄貴分のような存在だ。父母が死に環境が激変し毎日泣いてばかりいたゾムの手を引いて、近くの川の畔まで連れて行って遊んでくれたのがユミトだった。元々人恋しかった少年はみるみるうちに懐いた。 「今日は東の教会の壁でも使ってパルクールでもしよや」 「いいな、でもそれお前の得意な奴だろ?」 「このからずっと負け続きやん、たまには勝たせてや」 ユミトはそれを聞いて悩むふりをしながら、仕方ないからいいよと頷いた。ボロボロの服を風に靡かせ駆けながら、雑草のまばらに生えた乾燥した土へと体を半回転させて手をつき、バネの様に足から空へと飛んだ。再び地に足がつけば、今度はすぐさま目の前の柵を片手をついて足をかけ、空中で前転しながら低い姿勢で着地する。土を蹴り上げて教会の白い壁を大股に数歩駆け上がり、再び天地が逆転する感覚に、軽い興奮を覚える。そうして彼らは自分の体の指先までも、どのように扱えば良いかを日々学んでいった。 数年もすればゾムとユミトは、自然と日々の遊びの延長から、戦争の歯車の一つへと変化していった。十二歳から本格的に訓練が始まり、特に優秀であった二人は隠密部隊として特殊な訓練も受けさせられたが、それすらもゾムとユミトにとっては楽しいもので、まるで遊びの延長であった。互いに競い合う様にどんどんと技術を吸収していき、いつしか彼らはこの集落の希望の星となった。 彼らの所属している“コハブの血族”はタミアラ国政府からの信用も厚いパルチザンで、主に敵国の後方へと侵入し情報操作をしたり陽動したり、時にはもっと重要で危険な仕事を任されることもあった。二人が十八歳になったばかりの頃、ゾムは部隊長より重要な任務を仰せつかる事になった。 「この度ミヨイの師団を率いる男が、タミアラ領の川沿いラインのすぐ近くまで視察に来ている。そこを討ってもらいたい」 「ふぅーん、確かにあの川を挟んでなかなか状況が動かんもんな……ええで。報酬は?」
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