夏の終わり
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敵に情けをかけられた理由が解らず、初めて深い敗北感を味わった。両親の形見も、敵地のど真ん中へ、しかも泥の中へと落としてしまった。あの上を大勢のミヨイ軍人が踏み固め、もう二度とその大切な宝物は戻ってこないだろう。連絡の取れなかったボロボロのゾムが本部へと戻ってきた時、任務を失敗したにもかかわらず、全員が帰還を手放しで喜んだ、お前は神の祝福を受けた子だと言って。周囲の人間が見ればあの状況で五体満足で戻ってこられたのは奇跡だったと言えるだろうが、ゾムの心は余計に打ちのめされた。 「降りて来いよ、ゾム」 下からユミトの声がして、ゆっくりと振り返りながらそちらへ目を向ければ、幼馴染が手を腰に当てて自分を睨み上げている。その光景をしばらくボンヤリと眺めていれば、再び降りて来いと、今度は少し語気荒く言われ、ゾムは渋々立ち上がって3メートル弱下の地面へと綺麗に着地した。お尻をパタパタと払ってユミトを見れば、その顔にはありありと怒りが見て取れた。 「何で一人で行ったんだよ。どうして俺が戻るまで任務を待てなかったんだよ!」 「待っとったら、間に合わなくなると」 そう口にしようと思った時、ユミトの平手打ちが自分の頬へと飛んだ。バシッと容赦のない音がして、ゾムはふらりとよろめいて、驚いた顔のまま固まった。そのまま両肩を掴まれて揺さぶられ、激しく責めたてられる。 「馬鹿かお前はっ、何でいっつもそうやって、一人でなんでもしようとするんだよ!」 「あ……」 ユミトからこんなに風に殴られ、責められるのは初めてだ。ゾムは今何も考えられない頭を一層白くさせ、目の前の相手を固まった表情のまま見つめるしかなかった。ぐるぐると悪いものが頭の中に渦巻いている。死んで帰った方がマシだったかもしれない、そんな事すら考えた。自分の右腕が、不安な時に銀十字を握る動作を胸の前で繰り返し、だが探し物の見つからないまま虚しく行き場をなくす。 「馬鹿だよ、お前、本当に……」 気付けば自分の体は彼に抱きしめられていた。後ろ頭を強く引き寄せられ、相手の体温を頬へと感じる。ユミトの涙がゾムを混乱の縁から引き上げていく。たくさん泣いた後のようなスッキリとした気持ちで、ゾムはユミトに倣って彼の背に腕を回す。
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