夏の終わり
トップページ
表示:
ツリー
スレッド
トピック
新規投稿
記事検索
友達に教える
戻る
管理者にメール
マニュアル
管理画面
スレッド/レス編集
■編集する記事No.
450
■削除/編集パス(※)
投稿時に入力した削除/編集パスワードを入力して下さい
■名前
■メールアドレス
■本文
「ごめん」 「ん」 一言謝罪を口にすれば、ユミトはそれでいいよと背を撫でてくれた。 「次はどんな任務でも、絶対に俺に言ってから行けよ。お前、一人で逝ったら、許さないからな。本当に心配した」 「うん、そうする」 「ならよし。殴ってごめんな、痛かっただろ」 ユミトは体を離すと、ゾムの赤くなった左頬を見て鼻をすする。彼の目は赤くなっていた。それを見てゾムの目にも熱いものがこみ上げる。奇跡の子だ、神の祝福だと言われるよりも、何百倍も嬉しいストレートな行動と言葉をくれた親友がいてくれることが、生きて帰った一番の収穫であった。 「これやるよ、お前に」 「えっ? あ、これ……」 ユミトが自分の胸元にかけていたものを取り出す。それを自分の首から外して、ゾムの首へとかけてやる。それは木彫りの十字のお守りで、真ん中には大きな星型正七角形が彫られている。これはコハブの血族の証でもある、聖なる象徴だ。 「お前がどこへ行っても無事に戻ってくるようにって、急いで作ったんだ……細工は初めてだったから、あんまり上手くいかなかったけど」 ゾムは右手でその木彫りの十字を掌へ乗せてしばらく見つめ、きゅっと握りしめた。金属よりも温かみのある素材は、親友の温もりがまだ残っていた。堪えていた熱が溢れ、ポロポロと大粒の涙が止めどなく零れた。 「ええん? 俺なんかにこんな……嬉しい」 「あたりまえだろ、お前は俺の、かけがえのないたった一人の親友なんだから」 それを聞いてゾムは飛び切りの笑顔を見せる。彼がいてくれるなら、この先何が起こっても怖くはない。互いの想いが互いの生を力強く肯定する。そう、自分たちはいつも幼い頃から兄弟の狼の様に野を駆け回っていた。体の大きくなった今だってそうだ。自分が想っている以上に、相手に自分が想われる事がこんなにも心地よいとは。これからだってずっと、肩を並べて駆け抜けられるだろう。それがたとえ、黒煙の絶えぬ戦場だったとしても。 完
■ファイル編集
何もしない
画像を変更
YouTubeを変更
画像を削除
スレッドに戻る
トップページ
表示:
ツリー
スレッド
トピック
新規投稿
記事検索
友達に教える
戻る
管理者にメール
マニュアル
管理画面