夏の終わり
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今までの彼女であれば、二週間後には必ず手紙が帰ってきていたはずであった。なのに今回はもう二週間が経過してしまった。意気揚々として帰ってきたのに、自分の暗い部屋の電気をつけた時に足元へ落ちていたのは夕刊だけであった。もしかしたら配達の事故でもあったのかもしれない。明日手紙が来なかったら、もし会えなくても彼女の元へと赴こうと決めて新聞を拾い上げた。 翌日は昼まで待っては見たが、やはり手紙は来なかった。郵便局に問い合わせもしたが、やはり届いていなかった。 これはもうおかしい、居ても立ってもいられず、出かける用意をする。上着に袖を通した瞬間、何となしに朝からつけっぱなしだったラジオから聞こえてきたのは……間違うはずもない、マリアが刺殺されたとの報道であった。思わず全身の血の気が引き、上着の袖を半分まで通したまま、その音源元を横目で見ていた。 行方不明だったマリア・ヴェルディの遺体が湖畔で見つかりました。死因は背中からの刺殺と検察が発表しました。容疑者は現在逃亡しており―― あの日、自分たちへと視線を投げかけていたあの影を、無茶をしてでも追うべきだった。エーミールは自分の無力感にその場でガクリと膝をつき、ラジオをボンヤリと眺めていた。ニュースはこうも続ける。彼女は三ヵ月前よりストーカー被害にあっており、幾度か被害届を受理していたと。 彼女は自分には、そんな悩みは一度も話してくれなかった。きっと楽しい話に水を差すまいと気丈に振舞っていたのだろう。おくびにもそんな態度を見せやしなかった。だから猶更、悔しかった。何故自分は誰もこの手で守る事ができないのだろうと、自分に呪いの言葉を吐きかけたかった。全身が果てのない闇へと浸かっていくような、恐ろしいものに身を委ねてしまいそうな心だ。苦しい、悲しい、辛い……どうして自分が変わりに死んでしまわなかったのか。 「あぁ、ああ。きっと寂しかったろう……一人で怖かったろう。私が、必ず私が……」 「しゅじぃん!」 「どうして何の非もない彼女が、殺されなければ」 「しゅーじいぃぃん!」
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