夏の終わり
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「それはっ……」 なんだかとても恥ずかしいものを見られたような気がして、その写真を取ろうとすれば、一瞬しんぺい神の方が早かったのか、さっと取り上げられてしまう。あっと声をあげて腕を伸ばすが、しんぺい神はそれを持ったままくるりくるりと舞いだした。 「あぁっ、あの、それ返してください、しんぺいさん!」 「あのねぇ〜、この人が、しゅじぃんの事心配してる」 その写真を持ったまま、長い着物をくるりと翻しながら、まるで踊るように回るしんぺい神がそう口にした。 「ま、まさか本当に、私の夢を覗いたのですか? あなたは……」 「うん、だってぇ……しゅじんが連れて行かれちゃうかもしれないからぁ」 連れて行かれる? どこへだろうか。自分はずっとここにいるのに。その意味が解らずに、下半身に掛かっていた毛布をはいで、自分も立ち上がる。するとしんぺいしんは舞うのをやめ、とてとてとエーミールの前までやってきて、しゅんとした顔をして小さくなりながら、マリアの写真を差し出した。 「あのねえ、しゅじぃんが、夢魔に連れて行かれちゃうって、そのおねえさんが」 「ま、マリアが? しかも私が夢魔に?」 そういえば、自分は夢を見ない筈だ。夢食みの蝶シラー・ファールターを使役するようになってから、何故かは解らないが自分の夢を見られなくなった。生前夢は発想の原点でもあったためそれは酷く辛い事だったが、もはやそんなことも忘れた頃にこんな悪夢を見た。それは正しく普段誰かの悪夢を引き寄せ夢魔を退治する自分が、いつの間にか夢魔にとりつかれていた証拠に他ならない。 「でも、普通夢魔はそう簡単に始末できるものでは……もしかして、しんぺいさん?!」 「おっぱらったぁ!」 しんぺい神はきゃっきゃと嬉しそうな声を上げて、夢魔を追い払ったなどと宣わく。それにマリアの事を知っている。彼にしか見えていない世界の一端に触れ、エーミールは息を飲んだ。やはり目の前の彼は普通の人間とは違うようだ。 「じゃあこの女性が私の夢に出てきたから、そこから知ったんですか?」 しんぺい神の差し出した写真を受け取って、色あせた写真に映し出された色あせぬ笑顔を不思議な色の双眼でじっと見つめる。
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