夏の終わり
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「幽霊が見えるようになった瞬間って、どうやったん?」 縁側に座った少年が問う。その姿は異様そのもので、“地”の文字が炭で入れられた、まるで死罪人を彷彿とさせるような面紙を括り付け、表情を完全に隠している。そんな少年が問うた相手は、あまり周囲に積極的に馴染もうとしない、黄緑色のパーカーを着た男であった。先刻ロボロが縁側に出たところ、見事雑草に紛れ込んでいた黄緑色の背中を見つけた。何をしているのかと思えば、彼は庭に座り込んで蟻の行列にパンくずをやっていたのだった。狙撃手として長年訓練を積んできたロボロは、戦争で利き目を失ったとはいえ、優秀な目をしていた。そんな彼も、任務遂行中に悲惨な死を遂げていた。 「……せやんね、ある日を境に、急に、かな」 ロボロの問いかけに、背を丸めて地面を眺めたまま、黄緑色のパーカーを着た男、ゾムは答える。彼はあまり人と一緒にいるタイプではないらしく、殆どを一人で過ごしている。屋敷にはいる事もあれば、いないこともある。そのようにふらついている幽霊を知っていたロボロは、紺色のスーツと赤いネクタイ、気だるげにへらへらと笑うあの男を脳裏に思い浮かべていた。幽世に住まう幽霊は定位置にいないことが多いのは割とある事だが、目の前で背を丸めた男は、あの過酷な戦場を生き延びた強者であった。彼の体付きは普通の兵士よりも無駄がなく、野生動物のようにしなやかで、見る者が見れば彼が戦場でどれほどの脅威であったかを口にせずとも理解できる。 「ふーん、急にやったん。確かにある日を境に、よう気付かれるようになったんよね」 相手の返答にそう返してやれば、ゾムは丸めた背中をのばし、まるで遠慮するようにゆっくりと振り返って、どこかひきつったような、しかし懸命に作った笑顔を向ける。 「そ、そうなん? えと、なんやっけ……名前」 「ロボロやで」
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