夏の終わり
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「は〜あぁ、ホンマにもう……死んでから後悔するとか、順番がちゃうやろホンッマ」 「何がちゃうねん? 大先生、来たで」 「お」 大先生、と愛称で呼ばれた鬱は体を起こすと、うーんと背伸びをしてみせ、それが終わると自分が呼び出した男が屋根に登り自分の横に腰かけるのを静かに見ていた。あの和解の握手から、鬱とトントンは互いに疲れないのか、何気ない会話をしたりする機会が増えた。今ではお互いリラックスしながら接することができるまでになっており、その様子は最初の剣呑さからは想像もできない。 「俺、大先生が話したい事、大体予想ついてるで」 しまった、先制されてしもた。人心掌握の鉄則である、自分が優位な状態を作り出す前に、トントンはたったの一言で自ら牽制をかけてきた。ホンマ強敵やなあと、苦笑いと共に鼻から紫煙が抜けていく。それでも気を取り直し、いつもの様に、にへらと笑う。 「じゃあ話早いわ、さすがトンち。じゃ、何でなん?」 問いかけながら彼の顔を見ると、彼は瓦に後ろ手をついて、遠くの方を見つめている。限られた命を燃やすような蝉達の声が下界から聞こえ、彼のかけている眼鏡に、白い雲が流れていく。ジッと閉じられていた唇が薄く開き、肺に空気を取り込む音が微かに聞こえる。 「……大先生は、死んだあとにおらんかったん? また会いたいって思うような人」 「僕? うーん。せやなぁ……全くおらんかった訳ちゃうけど、まあよう知っての通り、こんなやし? 逆に僕に会いたい人間がおるかも定かではないわ」 半分茶化しながら自虐を口にすると、この言葉の中から本当に汲んでほしい真意を見抜いたのか、それとも空気を読めない奴ととらえたのか、寂しさの混じる苦笑を浮かべた。 「グルッペンとは、いつからかは忘れたけど、少なくとも士官学校ではずっと一緒やった。とはいっても、彼は上官で俺は下士官やったから、訓練中はそない仲良う接するわけにもいかんかったけれど、それでも俺が祖国を裏切るまでは、俺は誰よりもグルッペンの側にいたはずなんや。婚約者も紹介してくれた。知っとった? あいつ婚約者がおったんよ」
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