夏の終わり
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「あぁね。グルちゃんたま〜に、惚気るからね。けっこ〜ええ女やったらしいで、僕が生きてたら紹介してもらおうかと思たけど、死んどるからね」 いつもの女慣れアピールをしてみせれば、女性経験の少ない(もしくは全くないであろう)彼は、あからさまに不機嫌そうに眉の間にシワを寄せた。フェミニストでもないくせに、一々うるさいやっちゃと、肩を竦める。そういう真面目さが、彼のいいところでもあるのだ。 「グルさんが俺との思い出を、話してるの聞いたことあるか?」 唐突に問いかけられたその言葉に、鬱は許容量の少ない肺一杯に、煙を吸い込みながら考える。自分が記憶してる限り、グルッペンがトントンの事を話している内容は、出会ってからの楽しい記憶だけで、昔の知り合いだった頃の話は一度も聞いていない。いやそれよりもそこまで一緒にいたのだったら、グルッペンとトントンの二人がもっと積もる話をしててもおかしくないのに、それを目撃したことが一度もない事の方が気にかかる。煙を吐き出しながら浮かんだ疑問を口にすると、トントンは少し驚いたように目を大きくし、すぐに再び遠くを見つめる。 「アイツな、俺に再会した時、俺の名前も思い出せんかってん。俺の事、丸々記憶からなくなっとるんよ。今の俺は、アイツにとって、なんとなく顔を知ってる程度の存在やねん」 「え……あの知将が忘れると思えへんけども。でも確かに、あの人ちょっと覚えてなさすぎやと思うわ、まぁ、そういう僕もハッキリ覚えてない事があんねんけど……自分の事棚に上げて言うけど」 そう返せば、彼の黒い前髪が風に遊ばれ、彼の赤い目が細められる。 「せやから生前交した約束も、アイツ忘れてしもてん。俺と交した遠い誓いを、忘れとるんや」 その声があまりにも寂しそうで、煙草を咥えようとした鬱の手が止まり、灰がぽとりと落ちる。トントンはそのまま言葉を繋ぐ。
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