夏の終わり

おじさんに引き取られ、執事カフェで働いて数ヶ月。やっと、欲しいものが手に入った。家に帰れば、トントンが静かに縁側に座っていたので、買ってきたものを渡した。トントンは、返そうとしたが、俺が悲しそうな顔をすれば指にはめてくれた。左手の薬指に輝く指輪を見れば、嬉しくなり、笑った。自分も 左手の薬指にはめる。永遠の指輪、永遠の証。もう離したくない、離れようとするなら殺してでも繋ぎ止めてみせるなんて考える。
「あら？どうしたの？その指輪」
「結婚したんですか？」
カフェで接客をしていると、女性客にそう言われる。結婚なんて少しくすぐったいが、はにかみながら
「そのようなものです」
なんて微笑んで言った。

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