>>1ふわり、ふわりと自分の足は地を掴めずに僅かながらに、文字通り浮き足ながらに歩く。風がざぁ、と一度強く吹けば足元を掬われるようにフラりとする。雑多に人が群れるオフィス街なのこともあるだろうが、辺りは高い建物が多い。強い風は連続して吹くものだ。ふらふらりとしている間にいつのまにか車道まで出ていたようだが、自動車やバイクなんかは自分をすり抜けていく。当たり前と言えば当たり前の事なのだが、どうも一握りの人にのみしか存在を確認されないのは何とも口惜しい程言葉にしづらい事で。そんな下向きの気持ちをぼんやりと抱えているように下向きで歩きながらいたが、自分が存在しなくても人の幸福を抱えた満ちた表情を見ているだけで心に壊したい、なんて欲望と狂気が溢れるようで、それがたまらなく、狂おしいほどに好きだ。こう言うと皆気味悪がるのだが、愛だ恋だ幸せだ。自分が理解の及ばなかった点を見るのも、それに嫉妬するのも可笑しいことでも、ましてやなにも悪いコトじゃ無いでしょ?オフィス街を行き交う群衆を少し離れたビルの上から見つめる。職業柄自分の秀でた視る力は死力を尽くして戦に役立ててきていたはずだ。こんな遠くからも群衆の動きは手に取るようにわかるようで、単純な生き物は可哀想だと哀の色を浮かべるもののすぐに笑みを浮かべ直して。バカと煙は高いところが、というが、職業柄と信じたいものだ。...死者なんて不確定なものなど煙と等しいか。様々な念は浮かんでは泡沫に消え、いつも通り空っぽに戻る。永続的に狂っているからこそその心は落ち着いていて、それでいて騒がしいのだ。
>>1ふわり、ふわりと自分の足は地を掴めずに僅かながらに、文字通り浮き足ながらに歩く。風がざぁ、と一度強く吹けば足元を掬われるようにフラりとする。雑多に人が群れるオフィス街なのこともあるだろうが、辺りは高い建物が多い。強い風は連続して吹くものだ。ふらふらりとしている間にいつのまにか車道まで出ていたようだが、自動車やバイクなんかは自分をすり抜けていく。当たり前と言えば当たり前の事なのだが、どうも一握りの人にのみしか存在を確認されないのは何とも口惜しい程言葉にしづらい事で。そんな下向きの気持ちをぼんやりと抱えているように下向きで歩きながらいたが、自分が存在しなくても人の幸福を抱えた満ちた表情を見ているだけで心に壊したい、なんて欲望と狂気が溢れるようで、それがたまらなく、狂おしいほどに好きだ。こう言うと皆気味悪がるのだが、愛だ恋だ幸せだ。自分が理解の及ばなかった点を見るのも、それに嫉妬するのも可笑しいことでも、ましてやなにも悪いコトじゃ無いでしょ?オフィス街を行き交う群衆を少し離れたビルの上から見つめる。職業柄自分の秀でた視る力は死力を尽くして戦に役立ててきていたはずだ。こんな遠くからも群衆の動きは手に取るようにわかるようで、単純な生き物は可哀想だと哀の色を浮かべるもののすぐに笑みを浮かべ直して。バカと煙は高いところが、というが、職業柄と信じたいものだ。...死者なんて不確定なものなど煙と等しいか。様々な念は浮かんでは泡沫に消え、いつも通り空っぽに戻る。永続的に狂っているからこそその心は落ち着いていて、それでいて騒がしいのだ。