『あなたを愛してます』 雨がしとしとと降る日、自室から先日、親愛なる友であったトントンにもらったラベンダー越しにきらきらと空から降り注ぐ雨を見ていた。親愛なる友であったと言っても、仲が悪くなり絶交したのではない。恋人になったのだ。だが、恋人というには二人とも遅すぎ、親友としての時間が長かったので連れ合いの方がしっくりくる。まぁ、恋人と浮かれてもいいだろう。そう思いながら、枕にしていたある本を取って読み始める。戦略の本でも戦記物の小説ではなく、花言葉の本だった。これは、エーミールの住む物置に行った時たまたま見つけ、家賃だと言ってぶんどってきたものだ。「いろんなものがあるんだな……」 感心しながら本をめくるとあるページが目に留まる。一瞬ラベンダーを見ると、起き上がり、軍刀を帯刀し本を持って一階に駆け下りる。 居間に行くと、ちょうどコネシマがいた。ちょうどいいところに、と思い近づくとご機嫌取りをするような声色でコネシマを呼ぶ。「コネシマくーん、折り入って頼みたいことがあるんやけど」「ん、なんや?グル氏」 タバコを吸いながらコネシマは振り返る。何もしていないなと理解すると、手を組み自分の頬につけ、首をかしげると「花買いに行きたいから一緒についてってくれへん?」「別にええけど、そのポーズキツいで」「キツいとは失敬やな。不敬や、不敬……ま、いい。さっそく行くぞ。金は、この前トン氏にお小遣いでもらったやつがあるからこれで買ってくれ」 そう言うと、ポケットから小さな巾着袋を出すとコインを何枚か相手に渡す。すると、コネシマは灰皿にタバコを押し付け火を消す。外へ出るグルッペンの後を追って自分も出る。
『あなたを愛してます』
雨がしとしとと降る日、自室から先日、親愛なる友であったトントンにもらったラベンダー越しにきらきらと空から降り注ぐ雨を見ていた。親愛なる友であったと言っても、仲が悪くなり絶交したのではない。恋人になったのだ。だが、恋人というには二人とも遅すぎ、親友としての時間が長かったので連れ合いの方がしっくりくる。まぁ、恋人と浮かれてもいいだろう。そう思いながら、枕にしていたある本を取って読み始める。戦略の本でも戦記物の小説ではなく、花言葉の本だった。これは、エーミールの住む物置に行った時たまたま見つけ、家賃だと言ってぶんどってきたものだ。
「いろんなものがあるんだな……」
感心しながら本をめくるとあるページが目に留まる。一瞬ラベンダーを見ると、起き上がり、軍刀を帯刀し本を持って一階に駆け下りる。
居間に行くと、ちょうどコネシマがいた。ちょうどいいところに、と思い近づくとご機嫌取りをするような声色でコネシマを呼ぶ。
「コネシマくーん、折り入って頼みたいことがあるんやけど」
「ん、なんや?グル氏」
タバコを吸いながらコネシマは振り返る。何もしていないなと理解すると、手を組み自分の頬につけ、首をかしげると
「花買いに行きたいから一緒についてってくれへん?」
「別にええけど、そのポーズキツいで」
「キツいとは失敬やな。不敬や、不敬……ま、いい。さっそく行くぞ。金は、この前トン氏にお小遣いでもらったやつがあるからこれで買ってくれ」
そう言うと、ポケットから小さな巾着袋を出すとコインを何枚か相手に渡す。すると、コネシマは灰皿にタバコを押し付け火を消す。外へ出るグルッペンの後を追って自分も出る。