夏の終わり

(昨日は生徒の相談にのってあげられなかった。自分でも酷いと確信した。生徒が先生を信頼しないのもわかるかもしれない。朝、実験用具などの整理をしていると、とたんに聞こえた悲鳴。複数の声が聞こえた。外だろうか。慌てて何があったかと外に出てみて、人混みを掻き分けその先にあったのは昨日の生徒のような、昨日の生徒のような死体だった。声も出なかった。自分が聞いてあげられなかったせいだ、絶対そうだろう。いじめが続くくらいなら、と自殺したのだろう、この死に方は…飛び降りだろう。生徒の遺書にはこうあった。《人生に疲れました。学校に行けば叩かれ殴られ蹴られ金を取られ。家に帰れば母親に罵倒され。エーミール先生に相談しても無理でした。皆僕が居なくなったら嬉しいでしょうか。》どうしよう、どうしよう。この生徒の尊き命はもうない。こんなの、こんなの…自分は殺人犯じゃないか。無意識にﾌﾞﾂﾌﾞﾂ何かを呟いていたらしく、パニック状態にあると見られ帰宅を勧められた。言葉に甘えて帰宅させてもらった。頭が痛い、胃も痛い、頬も痛い。けど、こんなのあの生徒からしたらなんともない。自分がこの世の中に生きている必要が有るのだろうか。意味を見出だせない。…あの生徒に見せた苦し紛れの笑みを一人してみた。…目尻が熱い。)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とある大学教授の2day