『if 百合籠の戦場』 ぐしゃぐしゃと花を踏みながら歩く一人の影が居た。黒色のタキシードを着た男だ。左目には地面の花と同じオニユリが可憐に咲き誇り、歩くたびに腰から飛び出た動物の尻尾の骨がゆらゆらと揺れた。彼の頭の上には、灰色のくるぶしまであるベールが浮いていた。 ここは、彼の世界。絶望と悲しみだけが詰まった虚無の世界。空は果てしなく黒く、地面には一面のオレンジ色のオニユリだけ。周りには、美術館の展示のように彼のベールのようなカーテンが等間隔で置いてある。その一個一個に白く凛々しい虎が一匹ずつ番をするようにその中をうろうろと歩いている。「___」 一つのカーテンの前で止まると、到底人の耳では聞き取れない発音で何かを言うと、虎はぴたりと止まり、カーテンの中心に入っていきその中にいる人の後ろに寝そべった。「___?___!」 金髪のサッカーユニフォーム姿の青年に話しかけるが、返事はなく虚ろな目で見返してくるだけだ。男は、気にせず頬を撫でると抱えるように起こし青年の服を脱がした。青年の体は生身の人間の作りではなく、人形のように関節の部分が球体となっていた。 着替えが終わると、今度は青年の口を無理やり開け、その中にタネのような豆のような黒い物体をざらざらと入れていく。飲み込むはずもなく、溢れるぐらいに入れると満足した顔で立ち上がりカーテンの中から立ち去る。 彼がカーテンから出た瞬間、青年の口からは大量の水色の百合が咲き誇った。つやつやとして元気はつらつだ。
『if 百合籠の戦場』
ぐしゃぐしゃと花を踏みながら歩く一人の影が居た。黒色のタキシードを着た男だ。左目には地面の花と同じオニユリが可憐に咲き誇り、歩くたびに腰から飛び出た動物の尻尾の骨がゆらゆらと揺れた。彼の頭の上には、灰色のくるぶしまであるベールが浮いていた。
ここは、彼の世界。絶望と悲しみだけが詰まった虚無の世界。空は果てしなく黒く、地面には一面のオレンジ色のオニユリだけ。周りには、美術館の展示のように彼のベールのようなカーテンが等間隔で置いてある。その一個一個に白く凛々しい虎が一匹ずつ番をするようにその中をうろうろと歩いている。
「___」
一つのカーテンの前で止まると、到底人の耳では聞き取れない発音で何かを言うと、虎はぴたりと止まり、カーテンの中心に入っていきその中にいる人の後ろに寝そべった。
「___?___!」
金髪のサッカーユニフォーム姿の青年に話しかけるが、返事はなく虚ろな目で見返してくるだけだ。男は、気にせず頬を撫でると抱えるように起こし青年の服を脱がした。青年の体は生身の人間の作りではなく、人形のように関節の部分が球体となっていた。
着替えが終わると、今度は青年の口を無理やり開け、その中にタネのような豆のような黒い物体をざらざらと入れていく。飲み込むはずもなく、溢れるぐらいに入れると満足した顔で立ち上がりカーテンの中から立ち去る。
彼がカーテンから出た瞬間、青年の口からは大量の水色の百合が咲き誇った。つやつやとして元気はつらつだ。