「俺はどうしたいんか、自分でもよく解らんねん。彼に思い出させたいんか、それともこのまま幸せそうに笑っていて欲しいのか。あの青い瓶を手に取ったんは、そのためやねん。あ、安心してや、俺は自分であの青い瓶の中身を飲み干して死んだりせん。勿論誰かに使うつもりもない。そういう事に使うつもりはないんや。ただ、グルさんが俺との約束を、思い出してくれたらって」 そこまで言うと、彼は体を横たえ、自分と同じように仰向けになって日光浴をする。目を閉じて深い深呼吸をするトントンは、これ以上詳しい事を話す気はなさそうだ。こんなに暑く、酷く肌を焼くような日差しなのに、赤いマフラーを巻いたままの彼の額には、当たり前のように玉のような汗が浮いている。鬱は止めていた手を再び動かし、フィルター越しに空気を吸い込む。呼吸とともにジリジリと、煙草の長さが減っていく。吸い込む度にだんだんと熱くなっていく煙を飲み下しながら、今は大切な人の記憶から取り残されて、この世に残った苦しい心情を吐露したトントンの側にただ居てやればいい。そう決めて、短くなった煙草をもみ消し、新しい煙草に火をつけた。
「俺はどうしたいんか、自分でもよく解らんねん。彼に思い出させたいんか、それともこのまま幸せそうに笑っていて欲しいのか。あの青い瓶を手に取ったんは、そのためやねん。あ、安心してや、俺は自分であの青い瓶の中身を飲み干して死んだりせん。勿論誰かに使うつもりもない。そういう事に使うつもりはないんや。ただ、グルさんが俺との約束を、思い出してくれたらって」
そこまで言うと、彼は体を横たえ、自分と同じように仰向けになって日光浴をする。目を閉じて深い深呼吸をするトントンは、これ以上詳しい事を話す気はなさそうだ。こんなに暑く、酷く肌を焼くような日差しなのに、赤いマフラーを巻いたままの彼の額には、当たり前のように玉のような汗が浮いている。鬱は止めていた手を再び動かし、フィルター越しに空気を吸い込む。呼吸とともにジリジリと、煙草の長さが減っていく。吸い込む度にだんだんと熱くなっていく煙を飲み下しながら、今は大切な人の記憶から取り残されて、この世に残った苦しい心情を吐露したトントンの側にただ居てやればいい。そう決めて、短くなった煙草をもみ消し、新しい煙草に火をつけた。