>>1 生きたい。生きたいと願った。それでも止まらない血は死に向かうように紙へ、服へ、そして地面に落ちる。さーっと血の気の引いた肌の色できっと錯乱したのだ、何か、怖いものが見える。この世のものじゃないみたいな異形。…ふ、と、意識が途切れ、どさりとその場に倒れ込んだ。 その後、その場所は何者かの手によって爆破され、がらがらと崩れ瓦礫となって行った。生きているうちに連絡も何も入れてなく、いつも放浪している人間から連絡がなくても誰も不審に思わないだろう。スナイプポイントとして使っていたこの場所が崩れたことを知ってようやく親友のロゼットが現れる。瓦礫の下に見知った狙撃銃を見つけた。ロボロが愛用していたものだ。細かい傷は歴相応にあったのだが、砂を被り、石が当たりとかなり傷が深くなってしまっていた。それでも壊れていなくて、引き金を引くと弾は確かに発射された。彼が生きていることの証明のように思えて、そこらの瓦礫をひっくり返して見慣れた小さな体を探す。 オレンジの服が姿を現したとき、瓦礫の下にいたとは思えない彼の体が現れる。擦り傷ひとつない。褪せた血の跡が残る服を着ているのにだ。この量の血が出る傷が塞がる訳もなく、擦り傷ひとつもないのは異常だ。少し恐怖を覚えながら顔をのぞき込んだ時、ロゼットは気付いてしまった。彼が、隻眼と化したことを。___…そこからはどうにも記憶が無い。彼が目覚める前に基地に運び、寝させて。目覚めたあとは思い切り抱きしめてやったよ。小さい身体と脳みそじゃ覚えてねーみたいだったから言ってやったよ。「ちゃんと指示聞けばか」なんて。__ロゼットの手記、最終頁。
>>1 生きたい。生きたいと願った。それでも止まらない血は死に向かうように紙へ、服へ、そして地面に落ちる。さーっと血の気の引いた肌の色できっと錯乱したのだ、何か、怖いものが見える。この世のものじゃないみたいな異形。…ふ、と、意識が途切れ、どさりとその場に倒れ込んだ。 その後、その場所は何者かの手によって爆破され、がらがらと崩れ瓦礫となって行った。生きているうちに連絡も何も入れてなく、いつも放浪している人間から連絡がなくても誰も不審に思わないだろう。スナイプポイントとして使っていたこの場所が崩れたことを知ってようやく親友のロゼットが現れる。瓦礫の下に見知った狙撃銃を見つけた。ロボロが愛用していたものだ。細かい傷は歴相応にあったのだが、砂を被り、石が当たりとかなり傷が深くなってしまっていた。それでも壊れていなくて、引き金を引くと弾は確かに発射された。彼が生きていることの証明のように思えて、そこらの瓦礫をひっくり返して見慣れた小さな体を探す。
オレンジの服が姿を現したとき、瓦礫の下にいたとは思えない彼の体が現れる。擦り傷ひとつない。褪せた血の跡が残る服を着ているのにだ。この量の血が出る傷が塞がる訳もなく、擦り傷ひとつもないのは異常だ。少し恐怖を覚えながら顔をのぞき込んだ時、ロゼットは気付いてしまった。彼が、隻眼と化したことを。___…そこからはどうにも記憶が無い。彼が目覚める前に基地に運び、寝させて。目覚めたあとは思い切り抱きしめてやったよ。小さい身体と脳みそじゃ覚えてねーみたいだったから言ってやったよ。「ちゃんと指示聞けばか」なんて。__ロゼットの手記、最終頁。