夏の終わり

そういうと、ランサーは槍を構え直してライダーの方を見た。ライダーはハンドルをきつく握る。ランサーがぐわっとライダーに飛びかかるとそれに合わせてライダーはバイクで避ける。けたたましいバイクの音を響かせながら自分の体を地面すれすれで寝かせ、ランサーとは逆の位置に避ける。素早く振り返ると、ランサーに向かって機関銃を撃つ。
だが、ランサーは素早く避けてしまう。あれは無しだろ……なんて二人の戦いに見入る。
「っゴホッ！ゴホッ……」
「エーミール？」
「なんでもありません」
隣から突然、咳き込む音が聞こえ振り向くとエーミールは辛そうに口に痩けた手を当てて耐えていた。よく見ると、エーミールの肌色は青白かった。こいつ、病弱だったか？なんてランサーとライダーの戦いを見ながら考える。ランサーはサーヴァント以上の魔力を持っている。だが、消費量は分からない。仮説だがこいつはランサーの魔力供給で常に魔力が満タンになるようにしている。現界だけでも魔力を消費している。それで常に供給を行うのは無理だ。
「お前、まさか……」
「大丈夫です。大丈夫……」
俺が何かいいかけると、食い気味にエーミールは大丈夫だと言う。本当か？なんて不審に思いながらサーヴァントたちに目をやる。
「ね〜〜〜〜〜え〜〜〜〜っ！逃げてばっかじゃつまんないよ〜〜〜？」
「はんっ！そうですか？あんたも避けてばっかりじゃないっすか」
「痛いのは嫌」
「ふーん？子供みたいですねぇ、それとも傷つくのが怖いんですか？傷ついて負けるのが」