バシッと、グルッペンの平手打ちが背中のど真ん中へと入り、びくりとのけぞる。痛い、と抗議すれば、鏡のように綺麗な、そして強い意志を持った瞳が自分を睨んでいた。「強くなればいい。個々が強固になれば、鰯のように群れなくてすむ。お前は、鰯でいたいのか? それも、群れからはぐれた鰯に」「……」 答えに困っていると、グルッペンはため息をつき、トントンの前にしゃがみ込み、両手で顔を包み込むように黒髪の少年の頬を捕まえる。そして優しく微笑んだ。「お前の目は綺麗だ。そんな色今までに見た事がないぞ。自信持て、トン助」「……ありがとう、グルッペン、さん」 そうやって街に明かりが灯るまで、空が藍色に変わるまで、月が白く輝くまで、二人はずっとずっと肩を並べて、空を見上げていた。完
バシッと、グルッペンの平手打ちが背中のど真ん中へと入り、びくりとのけぞる。痛い、と抗議すれば、鏡のように綺麗な、そして強い意志を持った瞳が自分を睨んでいた。
「強くなればいい。個々が強固になれば、鰯のように群れなくてすむ。お前は、鰯でいたいのか? それも、群れからはぐれた鰯に」
「……」
答えに困っていると、グルッペンはため息をつき、トントンの前にしゃがみ込み、両手で顔を包み込むように黒髪の少年の頬を捕まえる。そして優しく微笑んだ。
「お前の目は綺麗だ。そんな色今までに見た事がないぞ。自信持て、トン助」
「……ありがとう、グルッペン、さん」
そうやって街に明かりが灯るまで、空が藍色に変わるまで、月が白く輝くまで、二人はずっとずっと肩を並べて、空を見上げていた。
完